社長の我慢が部下を育てる~仕事を任せるということ②~

社長の我慢が部下を育てる~仕事を任せるということ~全3回です。
今回はシリーズ2回目をお届けします。

鷹尾氏:昨年1年間を振り返りながらお話を伺っていると、高井様の理想が仮に10合目とすると、我が社は2合目か3合目くらいの所にいるなぁと痛感します。部下からも自分自身の長所を把握し、仕事を任せて欲しいというような発言が出て来ないですし、まだまだ権限を委譲していく段階まで届いていないのではないかと感じています。今は部下の立ち位置を変えることで意識変革を起こし、組織をピラミッド型にしたというところです。

高井氏:人間は見えた世界でしか動けません。それは言い方を変えるとレベルが上がっていくと見える世界が広がるということです。仮に広い世界が見えてきた時に自分がやってみたい、チャレンジしてみたいという気持ちを持つかどうかです。チャレンジしてみて自分も嬉しいし、上司も喜んでくれるとなるとモチベーションも変わってくるでしょう。

それは2合目か3合目の所であろうが、会社の方向のベクトルと部下のベクトルが同じ方向に向いていれば、ゆっくり世界が広がってくるということです。
最初から頭で理解し、すぐに7合目まで上がってくるということはありません。組織のもつ課題や面白さが見えてきて、一歩一歩世界が広がってくるようになれば良いと思いますよ。
それは個人から見ると自分が成長しているという実感に繋がり、仕事が面白いと感じるようになると思います。

鷹尾氏:トップとしては会社としての方向性や目標をもっておくけれども、達成するまでに立ちはだかる障壁を部下に考えてもらうことで、徐々にお互いのベクトルを合わせると。

高井氏:そうですね。上司としては目標や期待は上司の責任として持たなければいけません。
目標の実現に対して、部下をどう使うかという点から言うと「任せる」というのが大きな手段になります。しかし、目標まで部下に任せるというのは全てを放任することになり、マネージメント上ではマイナス面が大きくなるので、そこは割り切って考えるべきだと思います。
なので、社長は夢を創り、部下は現実を作るのです。そこで「任せる」というのは非常に重要なテーマになります。

鷹尾氏:社長の夢を形にしていく部隊が出来るということですね。

高井氏:そうです。そこで仕事を任された部下達から色んな意見が出てくるようになります。そして任されて実際にやってみた結果、自由な意見が出てくるようになります。
その意見は社長から見ると情報源、アイディアなど発想の源として物凄く貴重なものになるでしょう。一方的に指示をして、言うことだけをやっておけという世界とは、全く逆の世界です。

鷹尾氏:極端に言ってしまうと、こんな風になりたいんだ!手段は自分たちで考えろという事でしょうか。

高井氏:そうですね。夢と現実は乖離していないとおかしいわけです。
夢と現実の半ば位までは社長がある程度考え、部下は現実を中心に夢の一部までを考えます。その重なり合った箇所が情報共有になります。

鷹尾氏:戦略と戦術でしょうか。

高井氏:そうですね、戦略と戦術。同じような世界として捉えると良いと思います。

鷹尾氏:それは重なり合う部分がある、と。

高井氏:戦略は社長の夢なので、それは社長が考えないといけません。ではその夢を具体的にどのように実現していくかとなると、部下の力が必要になります。
部下の力は現実の力という位置付けですね。

私は社長の夢の実現に向けて、部下を「分身」として鍛えるとなった場合に、「任せる」ということは極めて有力な部下の育成だと感じています。その為の権限委譲ですし、そこに至るまでの情報共有です。
そしてその情報共有というのは社長の戦略作成という所に繋がってくると理解すれば良いと思いますね。

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