経営トップが考える社長のあり方とは(後編)―組織を動かすには、ガマンが必要!?

本対談は、前編・中編・後編の3部構成でお届けします。
前編:社長業の原点に迫る
中編:教育の本質は、部下の感情を動かすということ
後編:組織を動かすには、ガマンが必要!?

鷹尾氏:校長先生って実際教えないですし難しいでしょうね。

高井氏:そうですね、様々な角度からあの先生は甘いとか、厳しいとか、色んな声が集まってくるけれども辞めさせられませんし。ではどうやって足りないところを補うかが校長先生の役割であり、それが教育者の立場での「鳥の目」ですね。

鷹尾氏:「鳥の目」というのは分かりやすい表現を考えられたな~とつくづく思います。高いところから見た時に、全体像は見えるけれども、実態は掴めていない。

高井氏:そうですね。鳥の目では全体は見えてもなかなか細かい実態は掴めないですね。

高井俊成

「蟻の目」は目の前のことしか見えず、全体は見えていない。本当は鳥と蟻の間の「魚の目」が必要です。
組織というのは3つの視点が大事であり、どれか1つがカギということでもなく、バランスをとることが必要に重要です。

 

 蟻の目、魚の目、鳥の目。主観と客観。全てのバランスが必要。

鷹尾氏:あくまでそういう視点をもっておいた方が選択を間違わないということですか?

高井氏:社長さんが「蟻の目」だと困るということを覚えておいて欲しいですね。「鳥の目」も重要ですが抽象的過ぎます。部下はもちろん「蟻の目」でしかありませんが、「魚の目」に変えて「鳥の目」に繋がる集団にするのが理想的ですね。

鷹尾氏:と言いますと、各視点の重要性ということで、ある程度自分で見れていないといけないということですね。

高井氏:部下に任せるものは任せ、社長がやるべき事はやる、ということで良いと思います。
ですが社長が自分の得意分野や仕事の細かいことまで口出しし過ぎてはダメですね。そこは
役割分担があるということを肝に銘じておいて欲しいです。DSC_2081

仕事を任せることで自然に責任感が出てきて、工夫姿勢が出てきて進歩が始まります。それが社員を育てる第一歩だと言えます。
任せることは心配で任せる決断には勇気がいりますが、急がばまわれ、人が育つ効用は大きいと思いますよ。私も度々経験したことです。

 

鷹尾氏:経営者の大きなテーマとして『我慢』がありますが、その一つということでしょうか。

高井氏:それもありますが、『我慢』という社長の心構えと言うよりも、社長が持つべき部下を育てる技法、『我慢』という社長のメンタルの問題を通り越し、社長と部下の役割分担の話です。部下の仕事を社長がとってしまうと部下の立場がなくなりますよ。

鷹尾氏:社長さんが「蟻の目」になるメカニズムを見てみると、目の前の業務に対して社員さんがやろうとしているやり方に対し、圧倒的に自分のやり方が優れているという思いがあります。よく見えてしまうので口出ししてしまう。

高井氏:そうなると『我慢』です、本当はやってはいけない事ですよね。

鷹尾氏:おっしゃったのはそれぞれに役割があるから、その『領域を出てはいけないという我慢』ということですね。

高井氏:「蟻」のところまで細かく口を出してしまうと、「うちの社長は細かすぎる」と社長の悪い評判が出てきます。そのように社長の権威をけがすような発言が出てくるのです。いわゆる「マイクロ・マネジメント」の世界です。社員のやる気がそがれるという問題が生じます。

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社員の立場で考えると「立派な社長になって欲しい」「もっと良い会社にして欲しい」という期待がありますから、一生懸命社長についていこうとします。
ところが、社長が自分たちの細かい仕事を取ったらどうでしょう。仮に部下へのパフォーマンスとして、ということであれば構わないですが、部下の仕事に口を出し続けるのはいかがなものかと思いますね。

組織というのは、このように非常に人間的なものだということを分かっていれば良いです。部下の仕事は部下に任せ、社長が苦手なことは得意な人に任せられたら全体が見えてきて「鳥の目」になれるということです。

鷹尾氏:『我慢』が苦手であれば、我慢が出来る人に任せて・・・ということですね。

高井氏:社長さんは、自分がどう思われているのか分からない、なかなか意見を言ってもらえないという立場なので、どうしても主観的な判断をせざるを得ない仕事です。
しかし客観的な見方も忘れてはいけないので、社内に客観的な意見を取り入れる仕組みや、「蟻の目」と「鳥の目」を繋ぐ「魚の目」のような仕組みがあれば良いですね。
そこから違った立場や部下から見た情報や意見を取り入れないと、本当のことが分からなくなってしまいます。
社長さんが社員に自分の意見を伝えたり、社員の意見を聞いたりしても、社員から見ると社長は怖い存在なので本当のことはなかなか言わないでしょう。社長の発言も誤解して伝わることがあるので、そこは意識された方が良いと思います。

もう一つは社外からの客観的な意見をどう取り入れるのかが大事です。
社会的に見てもおかしな方向に動いていますよ、や、主観的になりすぎていますよ、という意見です。社外からのそのような意見ややり方は実際世間で使われている色んなアイディアが提供してもらえるということに繋がりますし、経営者にとってとても有益な情報源だと思います。外から見た会社や社長の状態をどのようにチェック機能として取り入れるか、というのが経営上重要なバランスの取り方になります。